小説家さんと指輪 後編

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「何で」 「だって、ここいじられながらだとすごく色っぽい声になるから」  そう言うなら、喋る余裕を残したほうがいいに決まっているのに彼は自分が言った言葉の理由を説明しながらローションで濡れたそこに指を入れる。 「っ…ぁ、」 「中、何本入ってるか分かる?」  そう問われたら、自然とそれを確かめるためにそこに力が入ってしまう。 「はっ…ん、」  入れられた指をぎゅうと締め付けてしまっただけで刺激を感じるのに、力が入っているそこの中をぐりぐりと撫でられて情けない声が出てしまう。 「フミさん、何本?」 「にほ、ん」  録音されている状況でそんなことを答えさせるなんて趣味が悪い。そう思うのに口は素直にその問いかけに答えてしまう。  「あってるよ」  正解したごほうびのつもりなのか彼はうれしそうにそう言うと止めていた指を再び動かし、中を押し広げるように刺激しはじめる。 「ん…ぅ、」  与えられる刺激に息を漏らすと彼がほぐしているそこからいやらしい水音が漏れ出す。  こんなはしたない音まで録音されてたらどうしよう。  音を聞いてすぐにそう思ったけれど、自分でするのと違って音が鳴らないようにすることもできないし必要以上に感じないように力加減をすることも出来ない。 「は…ぁ、ん、」  中が、熱い。  ぐりぐりと中を擦られるのが気持ちいい。  いやだ。こんなに早く、奥に欲しくなるなんて。 「フミさん、指で満足?」  体が疼くのを堪えるために口で息をしていると彼の声が聞こえる。  指で満足か?そんなのノーに決まってる。でも正直にそう答えないのは、たぶん年上の意地だ。 「大河さんは、いれなくて、いいの?」  途切れ途切れにそう問いかけると、中を刺激し続けていた彼の指が止まる。
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