4人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
そんな思いにたどり着き、待っているのがバカらしくなって来た。帰ろうと足を踏み出した時。
ぱきっ。
後ろから、音がした。
ぱきっ、ぱきっ。
小枝を踏んだ時のような音がしている。
後ろーつまりは、境内の中から。
俺は金縛りにでもあったかのように、身動きが取れなくなってしまった。息苦しささえ感じる。気のせいか、線香のような、煙の匂いもする。
うしろに、だれかいる。
「ねぇ」
「うわぁぁぁぁっ」
大声をあげた上、鳥居の前の段差から踏み外し倒れてしまった。ちびりそうだ。
声の主は、おかしそうに言った。
「ごめんごめん、そんなに驚くとは思わなくてー、僕だよ」
その声はー振り向き、暗闇に目を凝らすと、ゆうちゃんが立っていた。
「ゆうちゃん、どうしてここに」
ゆうちゃんは肩をすくめる。
「心配だったから、来ちゃった」
「そ、そう」
「うん。あの二人のことだから、肝試し以外にも君に危害を加えるとも限らないし。でもそんなの杞憂だったみたい」
ゆうちゃんは右手首を顔に向ける。腕時計とやらをしているようだ。
「0時15分ー、君が来る前から待っていたけど、あいつら来ない気みたいだね」
「そうみたいだなぁ、俺もそうがと思ってたんだぁ」
最初のコメントを投稿しよう!