4人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
ゆうちゃん
ゆうちゃんは言う。
去年、肝試し(あいつらは度胸だめしと言っていたか)、に来た時。あいつらは僕をここに閉じ込めたんだ。ドアに鎖か何か巻いたらしかった。窓ガラスを割ったのは僕さ、あの日ここから出るために、色んなところを割ったのさ。
でも。閉じ込められた時は流石にパニックになって、最初は窓を割ればいいなんて事に思いいたらなかった。僕は他の出口を探して、洋館の中を彷徨ったんだ。窓の鍵は錆びていて開かない。裏口も同じように開かなかった。何故か玄関のドアだけ、侵入するものを待つように開いたのさ。
中を見て回っているうちに、僕は段々と冷静になって、灯の出るキーホルダーを持って来ていた事を思い出した。ボタンを押してライトをつけると、小さな小さなそれは、頼りないけど、僕の進むべき道を確かに照らした。
それは、二階へ続く階段だった。僕は吸い寄せられるように、登ったんだ。
ぎぃ、ぎぃ。
登る度に嫌な音がした。二階に登り切った瞬間、ガタガタっ、と音がして僕は死ぬほど驚いたんだ。なんて事はない、二階の一室を覗くと本が崩れていた。その音だったらしい。僕が階段を登る振動で倒れたんだろうと、そう考えた。
最初のコメントを投稿しよう!