ゆうちゃん

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ゆうちゃん

 ゆうちゃんは言う。  去年、肝試し(あいつらは度胸だめしと言っていたか)、に来た時。あいつらは僕をここに閉じ込めたんだ。ドアに鎖か何か巻いたらしかった。窓ガラスを割ったのは僕さ、あの日ここから出るために、色んなところを割ったのさ。  でも。閉じ込められた時は流石にパニックになって、最初は窓を割ればいいなんて事に思いいたらなかった。僕は他の出口を探して、洋館の中を彷徨ったんだ。窓の鍵は錆びていて開かない。裏口も同じように開かなかった。何故か玄関のドアだけ、侵入するものを待つように開いたのさ。  中を見て回っているうちに、僕は段々と冷静になって、灯の出るキーホルダーを持って来ていた事を思い出した。ボタンを押してライトをつけると、小さな小さなそれは、頼りないけど、僕の進むべき道を確かに照らした。  それは、二階へ続く階段だった。僕は吸い寄せられるように、登ったんだ。  ぎぃ、ぎぃ。  登る度に嫌な音がした。二階に登り切った瞬間、ガタガタっ、と音がして僕は死ぬほど驚いたんだ。なんて事はない、二階の一室を覗くと本が崩れていた。その音だったらしい。僕が階段を登る振動で倒れたんだろうと、そう考えた。     
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