度胸試しへ

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度胸試しへ

 夕飯の後、お腹が痛いと自室にこもり、時間を見て窓から抜け出してきた。母ちゃんに出かけることを言ったら、ダメだと言うことがわかっていたからだ。   窓の外に用意してあった靴を履き、街灯もロクにない道を歩いた。ゆうちゃんから借りたキーホルダーの頼りない灯りだけが頼りだった。  ざっ、ざっ、ざっ。  暗闇を、自分の靴の音だけが響く。世界に一人だけになったような錯覚に陥る。  帰りたくなる気持ちをどうにか抑えて、ようやく神社に着いた。鳥居が見えるとぞっとして、とても一人で境内に入る気にならず、入口で待つことにした。  腕時計などの上等なものは持っていないので、大体夜中の12時くらいに着くだろうと出てきたが、待てどもたっちゃんとやすっぺの姿は見当たらない。境内にいるのかと鳥居の中を見ても、声も気配すらなかった。  鳥居から覗く神社は不気味で、暗闇の中にうっすらと神社の拝殿が見える。周囲の木々が風に揺れる音だけが聞こえる。どこかから、何かが飛び出してきそうで、俺は震えた。  もしかして、これはたっちゃんややすっぺにはめられたのではないか。呼び出しておいて、来ないつもりなのではー?     
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