稲荷連鎖

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「その神社でね、弟たちがちょっとした悪戯(いたずら)をしたらしいんだよね」 「悪戯? まさか賽銭でも盗んだのか?」 何となく、よくありがちなパターンかなと予想し俺が言うと、彼女は「違うよ」と静かな声音で即答してきた。 「お稲荷様は、油揚げが好きってよく言われるじゃない? それで、学校の帰りに弟の友達がいなり寿司をコンビニで買って、その神社にお供えしたの」 「……? 別に、悪いことじゃないだろ。むしろ良いことな気がするけど」 ゴミや汚物なんかを供えたとなれば当然話は別だが、神様へ好物を贈りたいという気持ちを悪戯と呼ぶのはあからさまにおかしい。 いったい、何の話をしようとしているのかわかりかね、俺は相手に見えないのを承知で眉間に(しわ)を寄せた。 「お供えをして、それで終わりならね。……そのときね、神様へお供えしたいなり寿司を、別の友達がその場で全部食べちゃったんだって」
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