2人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
第4話 ネコの靴下
私が選んだのはネコの靴下だった。足の甲の部分にネコの顔が描いてある。履いてみると、ネコが二匹並んでこちらを見ている感じだ。なかなかかわいいデザインである。
そして、なによりあたたかい!
いやー、あたたかい!
大事なことなので二回言いました。
いやあ、靴下って本当にあたたかいですね。
よし、靴下のあたたかさはこれで伝わっただろう。
これで終わりにしてこの作品を妄想コンテストに出品するかな、と思っていると、なんだか靴下から話し声がすることに気がついた。
「にゃーにゃー」
「にゃーにゃにゃー」
靴下がそれぞれ鳴いている。声がそれぞれ違った。
「おーい。あったか靴下大明神。」
「ぼわわわーん。呼んだかい?」
「呼んだけど、そんなあっさり現れることにびっくりだよ。」
「用件を言え。」
「この靴下はなに?なんで泣いてるの?」
「その靴下は、生きている。お前が履き始めたその瞬間に命が宿った。今は産まれたてでまだ子猫だ。そのうち成長して言葉を話すぞ。」
「ええー。」
「他に質問は?」
「とりあえず、わかった。」
「それじゃ、頼んだぞ、ぼわわわーん。」
あったか靴下大明神は消えた。
その日、ネコの靴下は終始「にゃー」としか鳴かず、言葉は話さなかった。
しかし、この靴下、うるさくて仕方がない。風呂に入る際に洗濯カゴに入れるとにゃーにゃーうるさいのなんの。私は寝るときは靴下を履かないので、(お風呂上がりはそんなに足が冷たくない)そのまま洗濯カゴにネコ靴下を入れたまま寝ようとするが、私がネコ靴下から離れれば離れるほどうるさく鳴く。仕方がないので自室にネコ靴下を持っていき、ベッドの上で靴下を履くと少し鳴き声がましになった。そのまま部屋を暗くすると、鳴き声がおさまったので、ネコ靴下を見てみると、目をつむって眠っていた。どうやら眠るようだ。私もそのまま眠った。いつも寝るときは電気毛布を使っているのだが、電気毛布のスイッチを入れなくても十分暖かかった。
次の日、目が覚めるとなんだか騒がしい。
「もう!くっつかないで!」
「しょうがないだろ。隣に産まれたんだから!」
「もう!どうしてこんなやつが幼なじみなの!信じらんない!」
少女漫画のようなベタな会話を繰り広げていた・・・
最初のコメントを投稿しよう!