第4話 ネコの靴下

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第4話 ネコの靴下

私が選んだのはネコの靴下だった。足の甲の部分にネコの顔が描いてある。履いてみると、ネコが二匹並んでこちらを見ている感じだ。なかなかかわいいデザインである。 そして、なによりあたたかい! いやー、あたたかい! 大事なことなので二回言いました。 いやあ、靴下って本当にあたたかいですね。 よし、靴下のあたたかさはこれで伝わっただろう。 これで終わりにしてこの作品を妄想コンテストに出品するかな、と思っていると、なんだか靴下から話し声がすることに気がついた。 「にゃーにゃー」 「にゃーにゃにゃー」 靴下がそれぞれ鳴いている。声がそれぞれ違った。   「おーい。あったか靴下大明神。」 「ぼわわわーん。呼んだかい?」 「呼んだけど、そんなあっさり現れることにびっくりだよ。」 「用件を言え。」 「この靴下はなに?なんで泣いてるの?」 「その靴下は、生きている。お前が履き始めたその瞬間に命が宿った。今は産まれたてでまだ子猫だ。そのうち成長して言葉を話すぞ。」 「ええー。」 「他に質問は?」 「とりあえず、わかった。」 「それじゃ、頼んだぞ、ぼわわわーん。」 あったか靴下大明神は消えた。 その日、ネコの靴下は終始「にゃー」としか鳴かず、言葉は話さなかった。 しかし、この靴下、うるさくて仕方がない。風呂に入る際に洗濯カゴに入れるとにゃーにゃーうるさいのなんの。私は寝るときは靴下を履かないので、(お風呂上がりはそんなに足が冷たくない)そのまま洗濯カゴにネコ靴下を入れたまま寝ようとするが、私がネコ靴下から離れれば離れるほどうるさく鳴く。仕方がないので自室にネコ靴下を持っていき、ベッドの上で靴下を履くと少し鳴き声がましになった。そのまま部屋を暗くすると、鳴き声がおさまったので、ネコ靴下を見てみると、目をつむって眠っていた。どうやら眠るようだ。私もそのまま眠った。いつも寝るときは電気毛布を使っているのだが、電気毛布のスイッチを入れなくても十分暖かかった。 次の日、目が覚めるとなんだか騒がしい。 「もう!くっつかないで!」 「しょうがないだろ。隣に産まれたんだから!」 「もう!どうしてこんなやつが幼なじみなの!信じらんない!」 少女漫画のようなベタな会話を繰り広げていた・・・
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