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第5話 ネコの靴下のカップル
ネコの靴下は、どうも左がオス、右がメスのようだ。
名前は私がつけていいそうなので、左をタロウ右をハナコにした。
私の小説の登場人物の名づけにおけるセンスはここでも発揮された。いつもテキトーにつけるから・・・
最初、ネコの靴下は喧嘩ばかりしていたが、私は何も心配していなかった。
隣同士の幼なじみなんでしょ。どうせアレな展開になるでしょ。
ところで、洗濯はしていいんだろうか?ネコ靴下をよく見るとタグがついていた。「洗濯機を使っても大丈夫だが、怖がるおそれがあるので手洗い推奨。と書いてある。」仕方なくぬるま湯を使って手洗いした。
「はー。気持ちいいにゃー。」
「にゃー。」
ネコ靴下は手洗いすると喜んだ。
洗濯が終わると二匹並んで干した。
気がつけば二匹で楽しく会話するようになっていた。
こんな靴下を外に履いていくわけにはいかないので、ネコ靴下は自宅用の靴下にした。私が家を空けていても、勝手に二匹で会話してくれるので問題なかった。靴下なので食事も排泄もないし、勝手のいいペットのようになっていた。
最初は子供のように無邪気な会話をしていた二匹だったが、数日後には、なんだか怪しい会話が聞こえてきた。
「ハナコ、好きだ・・・」
「タロウったら、何言ってるの!私たちただの幼なじみなのに・・・」
予想してたけど、なにこれ。人の足元で何やってんの。
私が二匹を凝視すると、
「何見てんだよ!」
と歯向かったので、洗濯機ですすぎ洗いの刑にした。
「洗濯機怖かったにゃー。」
「俺が守ってあげるよ。ハナコ。」
「タロウ・・・」
洗濯機で共に洗われ、ジェットコースター効果なのか、いつの間にか二匹はラブラブカップルになっていた。だから人の足元で何やってんの。
数日後には、
「18歳になったから結婚したよ。」
というわけのわからない報告を二匹から受けた。
まだネコ靴下がうちに来てから十日程度なのに、時間軸どうなってんの。あったか靴下大明神が現れ、結婚式が行われた。人の足元で。
「私たちは、靴下として履かれるときも、洗濯されるときも、干されるときも共に過ごすことを誓います。」
というわけのわからない誓いの言葉を聞かされた。まあでもおめでとう。
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