始業式

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おっと、すこし上の空だっか?まだ教室にいるのに気を抜行き過ぎていたかも。 「いや、大丈夫だ。それで質問って?」 「はい。アルバイトの申請をしたいんです」 「アルバイトの? さっきの連絡の時に話したがそれは来週から書類の配布、受付が開始されるからって」 「はい、ですからそれを少し早めていただくことはできませんか」 丁寧な口調で話すその生徒は有栖川姫路。名簿番号が1番だったため一番記憶に残っていた。勿論、覚えていた理由は他にもある。他の生徒とはどこか雰囲気が違うというか、大人びて見えたのだ。透き通る長くて艶めかしい髪、ほのかに朱にそまったきめ細かい肌、くりっと大きくひらいたぱっちりした目。何より日本庭園で見るような礼儀正しい女将のようなただづまい。
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