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第3章 別れと始まり
俺はさっきのトイレでの情事を
打ち消すかのように……仕事に没頭した。
アイツの……熱い手を思い出してしまい
身体が熱くなりそうになるのを必死で抑える。
……思い出すなよ……俺。
大体……男同士の恋愛なんてありえるのか……?
……でもアイツは本気だっ……て言ってた……。
しかも……『ゆき』……って
ふと胸に付けているネームプレートが目に入る
倖時……だから『ゆき』か
……前の会社のやつらからも
ゆきちゃん……ってちゃん付けで呼ばれていた事を思い出す。
やつらは本当に俺をバカにしていたけど……
アイツ……一貴は……
真剣な感じが伝わってきて
……戸惑ってしまう………。
……俺には彼女がいるし
そもそも男同士の恋愛なんて考えられない。
あの抱擁も口づけも……熱い手も
忘れよう……
今日は里菜と久しぶりに会う……。
里菜の仕事が忙しくなって、あんまり会えてないから……2週間振りになるかな……。
定時になり……荷物をまとめて
図書館の外に出る……。
周囲に……アイツがいないか……
目だけキョロキョロしてしまう。
俺は……足早に里菜のマンションに向かった。
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