四章

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公演が終わった後、とりあえずバイトしていた楽器店に行ってみた。 「えっヤマブキリントさん、ですか?」 燈子と同じ制服を着た若い女性が俺を見て大きく目を見開く。一応、俺は口元に人差し指を当てた。 「初めまして……昔ここでバイトさせていただいてまして。店長はいますか?」 「はっはい! 連れてきます!」 女性はドタドタと音を立ててバックヤードに消える。まもなく店長が浮き浮きした足取りでやってきた。 「えー! 山吹くん! 有名になったねぇ!」 「まだまだですよ。皆さんお変わりないですか?」 「敬語もちゃんと使えるようになったねぇ、皆元気だよ」 「良かった……西依さんも?」 「西依さん? 彼女は辞めたんだ。ほんの一か月前」 目の前が真っ暗になった。 「……そうですか。寂しいな」 彼女の連絡先は消してしまった。 「あの、良かったら連絡先を聞いてもよろしいですか? ちょっと用事があって」 「いいよ、ちょっと待ってて」 店を出た後、彼女の携帯にすぐに電話を掛ける。 その日一日、彼女の声を聞くことは叶わなかった。
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