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学校に向かって歩いてると歩道のガードレールに寄りかかった制服姿の少年が声をかけてきた。
『義行、また寝坊したのかよ』
声をかけてきたのは同じ学校に通う幼馴染みで同じ施設で生活する翔太だった。
『相馬さんが起こしてくれるから遅刻はしねーから』
義行はあくびをしながら言う。
翔太とは3歳からの幼馴染みで兄弟のような存在だった。
相馬さんという女性は、義行が生活する児童養護施設『太陽』で住み込みで働いてる保母さんである。
義行や翔太にとってはお母さんのような存在だ。
埼玉にある小さな施設で『太陽』という名の児童養護施設だ。
この施設では家庭の事情で親と生活できないような子供達を児童相談所を経由して育ててくれている。
一軒家を少し改築ただけの質素な見た目で、表札には『太陽』と、でかでかと書いてあり、そこでは義行をはじめ、5人の子供達と施設を任されている相馬さんの6人で生活している。
『太陽』の運営が始まった当初は近隣から、かなりクレームがあったらしいが今は近隣の住民とも挨拶を交わすほど関係は改善されている。
それもこれも相馬さんが熱心に説明会などの行事に参加して、説得した結果だろうと義行は思っていた。
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