何でもない世界は本当は美しい世界

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凪は舞衣の部屋へ入ると、一通り舞衣の部屋を見て回った。 「なんか綺麗に片付いてるね」 「だって、明日からしばらく留守にするから」 凪は舞衣の部屋にある小さなベランダから外を見ている。 舞衣も凪の隣に立ち、舞衣の部屋から見える殺風景な景色を一緒に見た。 「舞衣は覚えてないと思うけど、俺が酔っ払った舞衣を連れて初めてこの部屋に入った時、ここから見えるこの夜の景色に何だか目を奪われたんだ。 この小さな部屋で一生懸命生きている舞衣の事を支えてやらなきゃって、なんとなく、そういう事を考えてた。 俺は自分の住んでる部屋から見える夜景をそれまで一度も綺麗だと思った事はなくて、なのに、ここから見えるこの何でもない夜の景色を見て綺麗だって思った…… あの時からきっと、俺はもう舞衣のもので、舞衣は俺のものだったんだ。 舞衣がいれば、何でもない世界も美しい世界になるって、きっとあの時そう確信した…」 舞衣はこの舞衣が大切にしている小さな部屋で、凪がそんな事を考えていてくれた事が嬉しくて、涙が次から次へとあふれ出す。 「この部屋はしばらくは借り続けよう。 舞衣の物もそのままで……」 舞衣は凪の大好きな目元をずっと見ていた。 この優しい眼差しを私はあの時に気づいていた。 この人は、本当はすごく優しい人だって… 「ねえ、舞衣の未来にちゃんと俺の居場所はあるよな?」 舞衣は涙を溜めながら大きく頷いた。 「もし、この世に本当に神様がいるのなら、俺は何度でもお礼を言いたい。 舞衣を俺の元へ送り込んでくれてありがとうって… 舞衣? 結婚しようか… ううん、結婚してほしい…」 舞衣は凪の首元に抱きついた。 愛してると何度もささやきながら…… 一世一代の恋があるというなら、きっと私達のこの恋のことでしょう。 どこにいても、何をしていても、きっと必ず、凪は私を見つけてくれる。 そして、私を守ってくれる…
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