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舞衣は深呼吸して、真っ直ぐにソフィアの映る画面を見た。
「社長、本当にごめんなさい。
私、社長との約束を破ってしまいました」
画面に映るソフィアがポカンとした顔で「約束?」と言った。
「は、はい。
最初にここで話した時に、社長はあまり社内恋愛に対していい顔をしていませんでした。
そして、私も、イケメンには興味がないので心配いりませんと豪語していたのに……」
「いたのに?」
「社長、本当にすみません……
私、社長にあんな事言っておきながら……
まだここに入ってほんのわずかなのに、私、伊東凪さんの事を本気で好きになってしまって……」
舞衣は泣きたくないのにまた涙が溢れてきた。
「本当にごめんなさい……」
「あれ? ちょっと話が違うんだけど…」
「え?」
ソフィアは怒ってなんかいなかった。
思いがけず面白い本を見つけたみたいな、そんなワクワク顔をしている。
「私がジャスに聞いたのは、凪が舞衣の事を死ぬほど好きになったって」
舞衣はどう答えたらいいか分からずに、顔を赤くして下を向いた。
「舞衣?
私は社内恋愛がダメだなんて一言も言ってないわよ。
私があなたを選んだのはそれ目当てではないって確信があったから。
だから、自然に誰かと結ばれるのなら、それはそれで反対なんかしない、むしろ応援するってこと」
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