何でもない世界は本当は美しい世界

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舞衣は家に帰ると、凪の大好きだったピンクのうさ子に着替えた。 この何日間、色々な事があり過ぎて、舞衣の疲れ果てた心は凪の温もりを求めていた。 このうさ子を着るだけで、凪の嬉しそうな笑った顔が浮かんでくる。 それだけでもい… 少しでも凪さんを感じていたい… すると、玄関のチャイムが鳴った。 「舞衣さん、タロウです」 ドアの向こうで聞き慣れた声がする。 「荷物持ってきました。 ごめんなさい、遅くなってしまって…」 舞衣はタロウを見て心が癒された。 タロウの後ろに凪が見えるような気がして、凪に守られている、そんな気持ちにさせてもらえたから。 「舞衣さん、大丈夫ですか? 凪さんが居なくなっちゃって……」 強面のタロウの言葉は優しく舞衣の心に届く。 「全然ダメなの…… だから、凪さんの所へ行くって今日メッセージを送る…… タロウさん、私がメッセージを送るまでは絶対に黙っててね」 タロウは真っ白い歯を見せて嬉しそうに微笑んだ。 凪の喜びは自分の喜びと言わんばかりに、大きく舞衣とハイタッチをする。 「何かあったら言って下さい。 すぐに飛んできますから」
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