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舞衣は、翌日の朝に出発を控え、スーツケースに必要な衣類や小物を詰めていた。
このアパートは次に帰ってきた時に、引っ越しの手続きをする予定だ。
来月分の家賃までは引き落とせるように、貯金を崩して預金通帳に振り込んでおいた。
それとできるだけ凪に負担がかからないように、手持ちのお金をいくらか下ろしてきた。
舞衣はタロウから何も連絡がないことに、少しだけ不安を感じていた。
明日の朝が出発なのに、飛行機がどの便なのかも分かっていない。
凪にメッセージを送ってもまだ返信はなかった。
でも、タロウさんの事だから大丈夫…
今夜中には連絡がくる、きっと。
舞衣は早めにシャワーを浴び、コンビニで買ってきたおにぎりを食べていると、やっとチャイムが鳴った。
あ~、良かった…
タロウさん、やっと来てくれた…
舞衣は何も確かめもせずに玄関のドアを開けた。
「舞衣さん、遅くなってごめんなさい…」
タロウはそう言いながら、何だかおどおどしている。
「明日のチケットを持ってきてくれたんですよね?」
「あ…
実は、僕、用事ができて、明日一緒に行けなくなったんです」
舞衣は確実に落胆の顔をしている。
タロウに頼り切っている自分自身を情けなく感じた。
「あ、そうなんですね……
だ、大丈夫です、もう大人なんで、一人でちゃんと行けますから」
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