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「舞衣さん、本当にごめんなさい」
「ううん、大丈夫だから。
心配しないでいいからね」
タロウは頭を掻きながら階段を降りて行った。
え?
チケットは?
「タ、タロウさん、チケットは?」
舞衣はタロウを追いかけて階段を降りると、階段の踊り場にはタロウではなく凪が立っていた。
「え?
凪… さん?」
舞衣はもう何がなんだか分からない。
「チケットは俺が持ってるから大丈夫だよ」
凪は舞衣の手を取り階段を上り出す。
「な、凪さん?」
凪は舞衣の家の玄関ドアまで我慢できなかった。
舞衣を抱えると、舞衣の匂いを体中に吸い込む。
「すっごいお金とすっごい時間をかけて、舞衣を迎えに来た。
タロウに舞衣を託すなんて、よくよく考えたら絶対あり得ないって思ったんだ」
舞衣を抱えたまま玄関へ辿り着いた凪は、部屋へ入るとすぐに舞衣を力強く抱きしめる。
「アメリカで待ってても、私はちゃんと凪さんの元へ行ったのに…」
凪は優しく舞衣にキスをした。
「いいんだよ……
俺の所に行くって決断してくれた舞衣に、早く会いたかったんだ…」
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