偽不良くんは諦めない

8/18

5507人が本棚に入れています
本棚に追加
/565ページ
翌日、俺はいつも通り朝6時に起床した。通常通り授業が始まっていればすぐに弁当作りに取り掛かるところだが、今日はどうせ自己紹介や委員決めだろう。そういえば自分のクラスの担任は誰なんだ?昨日発表されたはずだが、サボったせいで知らないことばかりだ。 俺は毎日朝風呂をする派で、そのまま髪を乾かし髪のセットに取り掛かる。そんなに時間はかからないが髪の乱れは心の乱れ。丁寧にセットすることを心がけて鏡に向き合っている。 実際はこんな髪型をしたいとは思っていなかったが、この顔面凶器(?)と化した顔を活かすには十分な髪型だ。 本来なら流行の髪型をして、彼女なんか作っちゃったりして、青春を謳歌することを夢に見ていたのに。どうしてこうなってしまったんだろうか。 「…ひまだ。」 準備はできたが部屋を出るのにはまだ早い。俺の勝手な偏見かもしれないが、不良は登校時間ギリギリか遅刻するのがセオリーだ。朝早く登校してしまったら不良ポイントが5くらい減ってしまう。 『あれ、高嶋くんって意外に早起きなんだ』『えっ、イメージと全然ちがぁう…』なんて噂された日には俺の命日だと思ってくれ。そんな危機を自ら犯さないためにもこの登校時間はギリギリを狙わなければならないのだ。 俺の戦いは朝から始まっている。 そう言っても過言ではないと思う。 俺は掃除を済ませてから時間を見て家を出た。最初は苦難していた不良っぽい歩き方も体に染み付いてきて様になっている気がする。
/565ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5507人が本棚に入れています
本棚に追加