偽不良くんは諦めない

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それから委員決めは矢野の指名と立候補によって決まっていった。矢野のことだから脅しとか使うのかと思いきや、きちんとした理由があって本人も指名されて嫌がるわけでもなく寧ろ喜んで引き受けていた。意外とまともな先生なのかもしれない。 「じゃあ早速だが、新入生歓迎会についての手紙を配る。」 そう言って列の最初のやつに紙が配られ、もちろん俺もそれを受け取って後ろに手紙を渡す。新入生歓迎会は生徒会が主催しているらしく、この手紙も生徒会からのものらしい。 「来週の月曜、10時から行われる。欠席は補修の対象となるから気をつけろ。無論、講師は俺だ。」 矢野が講師とやるとなってはサボりは許されない。クラスメイトの気持ちが一瞬だけ1つになった瞬間だった。 「1.2.3年がランダムでペアを組み、他の敵と戦うゲームらしい。尚、ペアの方は当日発表される。」 (自分で決めるんじゃないんだ…) もし自分で決めていいのなら俺は迷わず山本を選んでいたのに。まぁアイツは友達多いから俺を選んでくれていたかはわからないが。 「さらに1人1つずつ…なんだ?水鉄砲が支給され、その水にペアの2人が当たってしまったらアウト…か。そのため数日後配布される服で来てくれだと。」 去年もかくれんぼだか鬼ごっこだか知らねぇけど、随分手が掛かっていたことを思い出す。タッチされると反応する機械をつけられて…変なところに金がかかってんだよなぁ、この高校は。 「で、その後は着替えていつも通り立食パーティーだな。その時は制服でいいらしいぞ。」 説明を終えた矢野は手紙を名簿に挟んで閉じて、「あ。」と何か思い出したかのように顔を上げた。 「そういえばいい忘れていたが、俺はこのクラスの担任の矢野(やの) 千尋(ちひろ)だ。一年よろしく。…じゃ、解散。」 そう言ってこのクラスから去っていった。
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