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「はァ!?ふざけんな!!」
やっとのことで状況が読み込めた俺は一ノ瀬に怒鳴って言い返す。誰が好き好んで野郎の言うことを聞かなきゃいけないんだよ。
頼むこいつもこいつだ。何で俺なんかに…ハッ!まさかこいつこの高校の頂点に立とうとしているのか?百戦錬磨の俺を下につければ向かう所敵無しだしな。でもそんなバトルアニメは他所でやってくれ…俺を巻き込まないでいただきたい。
「別に他の生徒の前で犬みたいに扱うわけじゃない。今まで通り学校では他人でいい。」
「は?ますます訳わかんねぇ…」
一ノ瀬がなにを考えているのか俺にはさっぱりわからなかった。
「言った通りだよ。僕の言うことを聞けば、秘密を守る。それができないなら…」
不敵な笑みを浮かべ、その先の言葉を言うことはなかった。でも言わなくてもわかる。これは脅しだ。一ノ瀬の言うことが聞けないなら生徒たちに中学時代のことを暴露されてしまう。
「納得いかねぇ」
ここで提案をのんでしまえば相手の思う壺だ。ここは強気でいかせてもらう。中学の時みたいに弱かった俺じゃないんだ。
「じゃあ、喧嘩で決めるってのはどう?」
その言葉に俺は目を見開いた。まさかそんな俺に都合が良い提案を相手からしてくるとは思わなかったのだ。いくら昔の俺を知っているからと言って今の俺を見てよくそんなことが言えたなと思う。
奴は俺より背が低くて、細身だし…圧倒的な体格差がある。もし一ノ瀬が今の俺の噂を知らなくてその提案をしてきたのならば、俺の完全勝利だ。俺は前みたいにもやしっ子じゃねぇ。
「その提案、乗った」
言いながら腕をまくると、一ノ瀬は俺の言葉を予測していたかのように笑みを浮かべて口を開いた。
「そう来ると思った。」
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