爽やかくんのオトし方

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するとなつは両手が塞がっているからか肩で俺のことを押し返してきた。 いきなり友達に…それも同性である男にキスされそうになったらそりゃ驚くし、拒否したくもなる。というか普通に引くだろ。 今まで培ってきた友情や信頼関係が一瞬にして崩れさった気がした。 (もう……終わった…) 怖くてなつの顔を見れず地面を見つめていると、なつはおもむろに抱えていた荷物を下に置いた。袋の中には人参やじゃがいもが入っていて、何に使うのだろうとボンヤリ考える。そうでもしないと、自分が壊れてしまいそうだった。 「は……っ?」 声を出したのは俺の方。なつは何を思ったのか俺の体を両手で包み込んできた。そう、今俺はなつに抱きしめられているのだ。 「大丈夫、大丈夫」 予想外のなつの行動に困惑していると、ポン、ポンと背中を優しく撫でられる。不思議と落ち着いてきて、その温もりに縋った。 自分の中の得体の知れない何かへの恐怖、初めて知った嫉妬という感情、友人に芽生え始めた甘酸っぱい気持ち。全部が一気に襲いかかってきて、焦燥感に駆られていたのだ。 それら全てを打ち消すように抱擁され、リズム良く撫でられて安心する。でもこれが別の誰かだったとしてここまで温かい気持ちになるだろうか。 (あーー。俺、なつのこと好きなんだな……)
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