爽やかくんのオトし方

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好きだと自覚し始めたら心臓が急に活発に仕事を始めてドキドキと鼓動が速くなる。なつと触れている部分がブワッと熱くなって、自分じゃ制御できない。 「こうすると妹の春歌がすぐ泣き止んだんだよ…」 妹扱いか……なんて、ちょっと残念な気もするが、抱きしめられていなかったら今頃俺はどうなっていたんだろうか。考えるだけでゾッとする。 「山本、なんか辛そうだったから…」 こうしてなつの優しさに触れるたびに膨らんでいた想いに気付かず、いつの間にか抱え切れないほどになっていたなんて。 「なんかあったのか?」 「うん、まぁ…だけどなつに会えて安心した。」 「……そうか。なら良かった」 そう言って離れようとするなつをギュッと俺から抱きしめる。 「山本…?」 「ありがとな」 「おう。」 この気持ちを伝えれたなら、なつはどんな表情をするのだろうか。 今はまだこの甘くて擽ったいような、それでいてちょっとほろ苦いような気持ちを味わっていたい。まだ終わりにはしたくない。 いつか好きだと言えたなら……──
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