爽やかくんのオトし方

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「じゃあ、俺行くけど…また何かあったら言えよ」 名残惜しくもなつの温もりは離れてしまった。あともう少しあのままでいたかった気もするが、それだと不審がられてしまうだろう。 「おう。頼りにしてるぜ〜!なつもなんかあったら俺に1番に言えよ。親友なんだから」 「しん、ゆう……」 ボッと顔を赤くして顔を背けてしまうなつ。唇をキュッと結んで緩む顔に力を入れて、ニヤける顔を我慢しているようだ。 (久しぶりにこの顔見たな……) 「そういえばこんな時間にどこ行くんだ?」 「あー…、一ノ瀬のところ。アイツ飯全然食わねぇからさ」 「ふーん……」 そう言って重たそうな荷物を持って長い廊下を歩くなつの背中を見つめる。 さっきまでなつが側にいた時は世の中全部が幸せでキラキラして見えていたのに、今は全然違った景色に見えた。話を聞いた瞬間、光を失ったような…絶望感でいっぱいの見え方になってしまっている。 なつの一つひとつの行動でこんなにも感情が揺さぶられるなんて。 (あー……やっぱり……) 『 × × × × 』ないと……── 山本 奏太 side end……
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