偽不良くんの口は災いの元

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山本が話題を作って俺が答えて、凪がたまにツッコミを入れる。すると槙田が俺たちを見て呆れ顔でまとめあげる。そしてそれらを見て至福の表情を浮かべる宗方。 山本が加わったことで良く言えばバラエティ豊か、悪く言えば異色のメンバーとなり、いつもより騒がしい昼休みになった。 「おい。高嶋、宗方。」 「はい」 帰りのホームルームが終わると、矢野が話しかけてきた。また面倒なことを押し付けてくるんじゃないかと睨んで身構えていると、デコピンされた。解せぬ。 「今日保健委員の集まりがあるから行ってこい」 「そういえばまた今度体育祭について会議をするって言っていたような…でもこんな急に?」 「あー…、一昨日には決まってたらしいんだが、すっかりな。」 「忘れてたってことだろ」 そう言うと、矢野がすごい勢いで俺をギロリと睨んだ。みんなはこの顔面が怖いと言うけれど、俺からしてみれば矢野の睨み顔なんてちっとも怖くなかった。寧ろそのヤクザ顔を馬鹿にしてププと笑えるほどだ。 「お前ら暇だろ。もう始まるから行ってこい」 「チッ」 「あ?やんのか?」 「ネコが好きなくせに」 「それは言わない約束だろーが。つか、お前だってネコ好きじゃねぇか」 「えっっ、ちょ、ま…っ………2人ってそういう関係なんですか…ネコが好きって…え、リバとかそういう…」 矢野と話していると、宗方が困惑しながらも興奮した様子で俺の肩をガッと掴んできた。何やらおかしな方向に勘違いしているようだったが、意味がよくわからず触れることは出来なかった。
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