偽不良くんの口は災いの元

6/23

5506人が本棚に入れています
本棚に追加
/565ページ
「体育祭当日、救護室には東先生が常にいてくれるから僕たちは主に応急処置と救護室への案内ってところかな。生徒たちがすぐわかるように常にこの腕章をつけておいてね。」 そう言って掲げられたのは白い布地に赤い十字架がプリントされている腕章だった。 この物腰柔らかそうで笑顔が聖母様のような人が保健委員長の三好(みよし) 輝彦(てるひこ)、通称ヨッシー先輩だ。ゆるくパーマがかかった胡桃色の髪がチャームポイントである。 「宗方、これみんなに配っておいてくれる?」 「はい。」 副委員長として三好先輩の隣に座っていた宗方は返事をして席を立つ。いつも委員長の右腕として動いていて、忙しそうではあるが卒なくこなしている。最近変なところばかり見ているせいか、この姿がとても新鮮に感じるのは気のせいだろうか。 「まぁこんなところかな…前日は準備もあるから頑張ろうね。じゃあ解散」 ものの20分ほどで会議は終わった。殆どが体育祭で何の種目に出るかなどの雑談だったため集まる必要があったのか甚だ疑問である。 「じゃあ三好先輩、お先に失礼します。」 宗方は三好先輩に向かって律儀に頭を下げると立ち上がった。俺もそれを見て立ち上がろうとしたが、三好先輩が宗方を呼び止めてしまう。 「三好先輩じゃなくて(てる)で良いって言ってるのに」 「そういう名前呼びフラグは回避すると決めているので!」 「宗方はつれないね」 それから2人は一言二言交わして、席を立った。
/565ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5506人が本棚に入れています
本棚に追加