偽不良くんの口は災いの元

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宗方と肩を並べて他愛もない話をしながら寮へと向かっている。ほぼ9割は山本と俺の話だが。 「宗方って三好先輩と仲良いよな」 「え…?そう見えてるんだ」 俺の言葉に宗方は意外そうに目を丸くした。 先輩と仲が良いというのは普通に羨ましい。俺の場合は新さんがいるけど、あの人は俺がついて回ってるだけだし、望月は論外だ。 「1年の時も保健委員だったからね…だから副委員長にも指名されたし…ってだけだよ」 はぁ…と溜息までついて、本当に三好先輩とは仲が良いわけではないのだろうか。 「あの人ニコニコしてるけど、結構ドSだよ。みんな裏の顔を知らないんだよ」 「でも宗方っていつも優しいのに三好先輩の隣にいる時はちょっとツンツンしてるから面白い。」 「えぇ…そうかなぁ…?」 宗方はムムム…と唸りながら目を瞑って首を傾げながら前方へと歩いていく。 「あ、宗方」 曲がり角から生徒が歩いてきて、それに気付いていなかった宗方の肩を抱いて引き寄せる。 「前見ねぇと危ないぞ」 「…………」 「宗方?」 「………え?あ、うん!!ぶつからなくて良かった〜」 俺の腕の中で固まっていた宗方は俺の呼びかけでやっと意識が戻ってきた。取り繕うようにへへへと笑っている宗方はどこか様子がおかしい。
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