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「じゃあまた明日ね」
「おう。」
寮に着いた頃にはいつもの宗方に戻っていて、少しだけホッとした。
そして俺は凪が待つ部屋へと帰ってダラダラと過ごした後、夕食の準備をする。一ノ瀬の二日分の食事もついでに作ってタッパーに詰めていく。
「…また行くの?」
「すぐ戻ってくるから先食べててくれ」
タッパーを入れた紙袋を持って玄関へ向かうと、凪が後ろから声を掛けてきた。いつもなら勝手に1人で食べているのに珍しい。因みに凪は一ノ瀬の部屋に行くことを知らない。
「いってらっしゃい」
「おう」
凪とは1日の中で一緒にいる時間が1番長いけど、まだまだ知らないことの方が多い。元々あまり喋らない性格ということもあって、自分のことを多く語らないのだ。
でも、あの宇宙人のような性格を演じていた凪だからこそ俺の偽不良という嘘も受け止めてくれたのだ。だから俺のことももっと知ってほしいし、凪のことももっとよく知りたい。
そんなことを考えていればあっという間に一ノ瀬の部屋の前にやってきていた。
「また来たんだ?」
「2日に1回は来るって言っただろ。ほら、またタッパーに詰めといてやったから食えよ」
こうやって嫌みのように言ってくるくせに来たときには使い終わったタッパーを綺麗に洗っておいてくれるし、食費のようなものもきちんと渡してくれるのだ。
嫌な奴が良いことをするとなんでこんなに評価がグンと上がってしまうのだろう。真面目に生きてる人が可哀想だ。
「そんなに僕を太らせてどうするつもり?喧嘩でもまだ勝てないのにもっと勝てなくなると思うけど」
「うるさい。それとこれとは違うんだ。」
一ノ瀬の言っていることは本当にその通りで、痛いところを突かれてしまう。本当なら俺だってこんなことしたくないけど、放って置けないんだから仕方ない。
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