偽不良くんの口は災いの元

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「そろそろ観念して一生僕の下僕になれば?」 「やだ」 俺は即答…いや、むしろ少し被せるくらいの勢いで答えた。 ″一生下僕″だなんて、そんなの死んだ方がマシだ。というかこの学園を卒業すれば隠す理由もなくなるのだから、一ノ瀬の言うことを聞くメリットがない。 「このままじゃいつまで経っても僕に勝てそうにないし、別に喧嘩じゃなくてもいいけど。」 そう言われて少しの間考えてみるが、こいつに勝った姿がちっとも想像つかない。一ノ瀬は学年で不動の1位というほど頭がいいし、喧嘩は勝てないし。俺が得意なことといえば家事だけど、できない奴相手にそれをするのも気が引ける。 それならば…… 「体育祭の結果でどうだ」 俺は一ノ瀬に勝ち誇った笑みを向けた。 「競技の点数で勝負ってこと?」 体力に自信はあるし、体育祭であれば正々堂々と恨みっこなしで戦うことができる。 「そうだ。俺が勝ったら約束通り下僕は解消、秘密は他言無用だ。」 「じゃあ僕が勝ったらまた一つ言うこと聞いてもらうから」 「…わかった。」 その条件をのむことは少し躊躇いがあったが、喧嘩より勝てる見込みがあるから仕方なく了承した。 「自分で言ったこと、後悔しないようにね」 後悔するわけがない。体育祭の日に一ノ瀬という呪縛から解放されるかもしれないのだから。
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