偽不良くんの口は災いの元

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一ノ瀬の言葉の意味を理解したのはその1週間後のことだった。 体育祭を目前に控えた学園は体育祭モードで賑わっていた。特に授業で何かを練習するということはなく、殆どの種目がぶっつけ本番である。しかし応援団に所属していたり、部活に入っていたりすると朝や放課後に練習している姿が多く見られるのだ。 体育祭での大目玉といっても過言ではない応援団たちは各カラーの学ランの衣装を身に纏い、生徒たちに熱いエールを送る。そんな彼らたちがイケメン揃いだから生徒たちがまた黙っていない。その熱狂ぶりは大地を揺らすほどだ。 そんな光属性である生徒たちとは何ら関係ない俺は呑気に教室へと向かっていた。 「おはよう。高嶋くん、星乃くん。」 「おはよ、宗方」 チャイムが鳴る2分前、ギリギリを狙って教室に着くと宗方が天使の笑みで俺たちを出迎えてくれた。 「今日はあの発表だね!」 「え?」 ワクワクが抑えきれないという表情で何を言い出すかと思えば、 「あれ?あんまり興味ないかな。体育祭で生徒会が企画してるシークレット競技!」 「……あぁ。」 そういえばそんなものがあったのは覚えている。毎年生徒会主催の競技が一つだけ行われる。その競技に参加できるのは全校生徒が事前に行った人気投票というものの各学年上位10名のみという特殊なルールがある。 その競技の内容は体育祭当日、しかもその競技が始まる直前までわからないようだ。しかし聞いてみたところ、上手くいけば高得点を狙える種目らしい。今日はその競技の参加者の発表だそうだ。
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