偽不良くんの口は災いの元

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今年の競技はまだ発表されていないが絶対この学園ならではの黒歴史になりかねないようなものに決まっている。だから極力参加したくない。 (だけど……) チラリと隣を見てみれば愉快そうに頬杖をついて俺を見やる一ノ瀬の姿があった。 一ノ瀬も参加するというのならば、この競技に出ないと点数がとれず勝負に負けてしまう。心の中で葛藤しながら矢野に視線を移す。 「参加拒否できねぇのかよ」 「あ゛?ンなの無しに決まってんだろ。俺らはクラス優勝も狙ってんだからよ」 矢野はこんなに行事に積極的だっただろうか。どちらかというと面倒だと思うタイプな気がするのだが…。 「なんだよその目は」 「別に。クラス優勝したクラスの担任がボーナスかなんか貰うでもしねぇと、矢野はやる気出さなそうって思っただけ」 「…………………さ、競技出場者の一覧配るぞー」 ジトリと見ながら言うと矢野は視線をクラス全体に移してプリントをトントンと整えた。 「おい。」 「……チッ。わーったよ。クラス優勝したら打ち上げ開いてやる」 「「「わぁあぁぁああぁ!!!」」」 別にそこまでしてもらおうとは思っていなかったが、皆んな喜んでいるみたいだし特に口出ししないでおいた。 「その代わりお前絶対勝てよ」 矢野に肩をポンと叩かれ、ズッシリとみんなの期待が重くのしかかってきた気がした。もう引き返すことはできない。
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