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「高嶋くんおめでとう!!!」
「…………」
俺の元に笑顔で駆け寄ってきた宗方を見て何とも言えない気持ちになり、無言で机の上の紙に視線を落とした。
何度見ても出場者一覧の紙には俺の名前が記載されている。しかも学年7位というなかなか高いランキングにいて、自分でも開いた口が塞がらない。これは果たして人気から得た票なのだろうか。
「僕も高嶋くんに投票したからね」
「……複雑だ」
ふんすっ、と誇らしげに鼻息を荒くする宗方は小動物のようで可愛かったが、今の俺の瞳にはちょっと憎たらしく映った。
一ノ瀬はランキングで1位に君臨していたし、凪も転入してきたばかりというのに2位という快挙だ。山本も安定の5位で、1年には槙田の名前も入っていた。
「でもランキング7位ってことは親衛隊ができてもおかしくないレベルだよ。この投票って学園生徒の99%以上が入れてるものだからさ」
それを聞くとなんだかゾッとした。少なからず俺をそういう対象として見てる奴もいるかもしれないってことだろう。
そんな俺は投票しなかった生徒残り1%のほうである。投票するなら3年は新さんで2年は宗方、1年は消去法で槙田になるが、どこで誰が見るかわからないので教室のゴミ箱にそっと捨てておいたのだ。
「どんな競技になるかほんっとーに楽しみ!」
喜んでいるところ悪いが、出来ることならば出場したくない。こんな俺が美形に囲まれて参加するなんて公開処刑だ。生徒会が去年よりマシな競技を選んでくれることを祈る他ない。
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