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「凪、大丈夫。」
「そう言って大丈夫じゃないの知ってるから」
ポンと背中を叩いて安心させてやろうとしたが、凪は俺の顔をジロリと睨みあげた。あまり感情を表に出さない凪の表情にビックリする。
凪の今の言葉には色んな意味が含まれている気がした。なにを知ってるのだろうか。
「うーん、また出直してきた方が良いかな」
「いい」
俺がそう答えると服をクイっと引っ張られて、見ると凪がいつもの無表情で俺を見つめていた。
「なんかあったらぶっ飛ばすぐらいできんの知ってんだろ。だから心配すんな」
「……わかった。なんかなくても殴った方が良いと思うけど。」
「ねぇなんか物騒な話してない?」
凪の頭を撫でると、不服そうに少しだけ頬っぺたを膨らませた。男ながらにちょっと可愛いと思ってしまったのは俺だけか…?
特に声のボリュームを抑えていたわけではなかったため、望月にも会話が聞こえていたらしい。
「話ってなんだよ」
「ここじゃああれだからこっち来て」
望月は人目をはばからず俺の手を握って歩き出した。俺は一瞬思考停止しながらついていったが、周りの視線に気付いてパッと振り解いた。
「うわっ…やめろよ気色悪い」
「もー、そんなこと言うの君くらいだよ」
確かに周りにいる生徒たちを見ていても、姿を見るだけで顔を真っ赤にしたり、笑顔を向けるだけで失神したり、本当にアイドルのような扱いを受けている気がする。
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