偽不良くんの口は災いの元

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着いたのは来たこともない教室だった。聞くと生徒会と風紀で会議を開く際に使う場所らしく、普通は一般生徒の入室は不可になっている。 「それで?」 「まぁまぁ…そんな急かさないで。お茶いれるから待ってて」 2人で優雅にお茶会をするほど仲良くなったつもりはなかったが、 「ランキング7位だったね。おめでとう」 「全然嬉しくねぇけどな」 俺に背中を向けながらカップに紅茶を注ぐ望月の姿にはかなりギャップを感じた。自分で紅茶も淹れられない坊ちゃんだと思っていたが、慣れた手つきで意外な一面を見た気がした。 「はい。このクッキーも食べてみて」 コトンと置かれた高級そうなお皿にはクッキーが乗せられていた。チョコチップが入ったものから、ジャムが乗せられたもの、中にはラングドシャのようなものまで取り揃えられていて俺の胸は高鳴った。 「……………」 しかしこれは望月が用意したもの。食べたらきっとまた交換条件を出されるに決まっている。俺は食べたい気持ちをグッと堪えた。 「これ食べたからって何かお願いしたりなんてしないよ。」 「絶対だな?」 「信用ないな〜」 俺の気持ちを察したのか望月は眉を下げて笑った。
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