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……………いやいやいやいや!!
そんなことはない。絶対に認めない。
俺は今まで恋愛なんてしたことがなかった。可愛い子たちは群がってくるし、それを楽しむことは嫌いじゃないから、それなりに酷いことをしてきた自覚もある。軽いキスなら好きじゃなくてもできるし甘い言葉を囁くことだって息を吐くようにできる。だけどそういうことをシたいという気持ちにはならなかった。
だから夜はセフレと楽しんでいるという噂を流しておけば、俺がまだ誰ともしたことがない……所謂、…童貞だとバレないと思った。
よく考えてみるんだ。こんな不良で可愛さのかけらも無いような男…。でもよく見たら睫毛長いし、油断していると目もぱっちりとしていて唇も桜の花びらのような色をしている……
「おい、どうしたんだよ。急に話さなくなって」
─ ガタンッ
「!?」
高嶋くんが俺の手に触れて、2人の視線を遮っているA4用紙を退けてきた。その手が触れた瞬間、俺の手は急激に熱を持ち、心臓がバクバクして思わず手を引っ込め立ち上がってしまった。
さっきまで手を握るのも全然平気だったのに、それを思い出すだけでも顔が熱くなるのがわかる。今まで考えもしなかった。誰か1人の行動でこんなに心を乱されることになるなんて。
ただの暇つぶしで遊び程度にしか思っていなかった。自分のことを知らなくて、生徒会副会長という役職も御曹司という地位も、この容姿でさえどうでもいいというその態度が心地よかった。
それだけのはずなのに………
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