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絶対確信犯だ。
俺が新さんの顔に弱いっていうことをわかっててああいうことをするんだ。満足そうに微笑んで俺を見下ろしているのが何よりの証拠だ。
「それで、お前が1番尊敬しているのは?」
「新さんに決まってるじゃないですか…」
そう言って見上げると新さんは笑みを深めた。こんなこと言うのは新さんが相手でも恥ずかしい。伝えなきゃ相手に伝わらないこともあるけど、寧ろ新さんはそれを知ってて面白がっているからタチが悪い。
「こんなことしなくても、わかってるでしょ…新さんのいじわる……」
膝の上で拳をギュッと握って俯くと、すぐに顎を指で掬われてしまう。必然と新さんと目が合って、その濁りのない真っ直ぐな瞳に目が逸らせない。
「愛い奴だな」
「へ……?」
すると新さんはなぜかゆっくりと顔を近づけてくる。なんだか時がゆっくりに感じて、スローモーションのようだった。
─ シャッ
「「…っ!?」」
入り口のカーテンの音に俺と新さんはパッと離れてそちらに目をやった。しかしそこには誰もおらず、ただカーテンが揺れているだけだった。
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