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「戯れが過ぎたな」
「ほ、本当ですよ……」
「お前はなぜか可愛がりたくなる」
誰かに見られたかと思ってビックリした。今でも心臓がバクバクしている。今の状況を見られたら盛大な勘違いをされてしまう気がする。俺でさえキスでもされるんじゃないかと変な思い違いをしてしまったのだから。
「…えと、そういえば新さん。ここにいるってことは怪我してるんですか?」
「ああ…まぁ大した怪我ではないが。親衛隊達が行けとしつこいからな」
「俺に手当てさせて下さい。」
このままでは新さんにドロドロに甘やかされて蕩けてしまう。その前に早く話題を変えなければと新さんが差し出した手の平を両手で包み視診した後、棚から消毒液とガーゼ、絆創膏を取り出す。
「…器用だな。」
「ふふっ、新さんは意外と不器用なところありますもんね。」
「俺にそんなこと言うのは夏輝だけだ」
俺が手当てする様子を見て感心する新さん。昔はよく新さんに手当てしてもらっていたけど、慣れていないせいか包帯が緩かったりしたっけ。完璧人間な新さんにも苦手なことがあるってことを知れてホッとしたことを覚えている。
「へぇ〜手当てしてあげてるの?2人って仲が悪いんだと思ってたわ」
その声を聞いて俺は固まった。
決して忘れていた訳ではない。新さんとの2人の空間を楽しんでいた訳では決してないのだ。ただ、油断していた。この人がまさか起きてしまうとは。
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