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「ち、違います。コイツが怪我したって言うから…」
「私が無理に頼んだんです。自分だとどうも難しくて」
「ふぅん?それにしては甘い空気が流れていたような気がするけど…」
「普段が普段ですから。別に私は彼と仲が悪いとは思っていませんし…ね?」
すかさずフォローを入れてくれるあたり、新さんは流石だと思う。しかし東先生は疑うような目付きで俺たちをジーっと見ている。
「あっ!そうだ!それより高嶋くん、さっきのお題はなんだったの?千尋を連れて行ったみたいだけど」
話題を変えようと考えていたら東先生がさっきの借り物競走のことについて尋ねてきた。矢野と東先生は腐れ縁だから気になるのだろう。
「そんなの教えませんよ!」
そう言って俺は湿布を持ち救護室を飛び出した。長居し過ぎても良いことが全くない。
「なになに、ラブの予感?」なんて面白そうに言う東先生の言葉に「それはありえませんよ」と答える新さんの声にホッとした。
「……ふぅ。にしてもやっぱりアイツ、救護室には来なかったな。」
しばらく歩きながら御目当ての人物をキョロキョロ探していたが、この広い敷地で1人を見つけるのはだいぶ困難だ。
「あ。」
と思っていたが、割と早い段階で中庭のベンチに座るその人物を見つけてしまった。
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