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「おい」
「俺はおいって名前じゃないんだけどなぁ…」
声をかけられ振り返った望月は俺に気づくなり目尻を下げてやんわり微笑んだ。
「どうしたの?こんなところで」
「それはこっちのセリフだ」
「え?」
キョトンとして俺の言葉の意味がわかっていないようだった。ヘラヘラしてるし側から見れば本当にわからないけど、現場を見ていた俺からしたら痩せ我慢しているようにも見える。
「足、捻ってただろ」
「えぇ……見られてたの?かっこわる……」
望月の足を見て言うと、望月はガクンと肩を落とした。
「でも誰も気づかなかったのに高嶋くんだけ気付くなんて。もしかして俺のことずっと見てたんじゃないの〜?……い゛っ!?」
ニヤニヤしながら言ってくるのがウザくてちょんと足を蹴ると、言葉にならない声を上げた。
「怪我人は黙ってろ」
「……うん」
俺が足元に跪いてそっと足に触れると、望月は観念したのか素直に頷いた。
「腫れてるじゃねぇか。」
「あは。まぁ結果オーライかな〜高嶋くんが俺のために手当てしてくれてるからね」
思ってもないことを…なんて呆れつつ、こういう事をサラッと言えてしまうところは羨ましい。
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