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「す、すす、っ…す、き?」
「…いや、そっちの方が素っぽくてってだけだけどな」
そんな言葉言われ慣れてるだろうに、俺から少し距離を取って頰を包み動揺した顔を向けてくる。
「そ、そっか………そうだよね。何で気づくのが君なんだろうね」
俺の言葉にどこかホッとしたような残念そうな表情をして、ベンチの背もたれに背中を預けていた。
「あーあ。なんかもう色々吹っ切れちゃった。もうこの際認めるしかないよね」
なぜか同意を求められたがその意味が分からず首を傾げた。すると望月は眉を下げて力なく笑った。
「高嶋くん、俺頑張るよ」
「ん?おう…がんばれ?」
何を頑張るのかは知らないが、何事も頑張ることは大切だ。望月が必死に頑張っている姿は想像つかないが、どんなに空回っていたとしてもその頑張りは周りに認められることだろう。
「体育祭楽しもうね」
ゆっくり立ち上がった望月はひらひらと手を振って、颯爽と去っていった。
本当にこの学園にはバラエティ豊かなイケメンが揃っているなと思いながら俺も観客席へ戻ることにした。
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