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午前の部が終わり昼食を済ませた後、午後の部が始まった。応援合戦から始まり、台風の目や綱引きなど団体戦でかなり盛り上がった。
この後に控えているのは色別対抗選抜リレーと生徒会主催の競技。今のところ一ノ瀬と点数は張り合っているが、俺は選抜リレーには出ないため最後のあの競技にかかっている。
「いってくる」
「おう、頑張れ。1位でバトンパスしろよ」
「当たり前」
凪はベッと舌を出してピースサインを俺に送ると入場口の方へと歩いて行った。
リレーには奏太も出るが凪とは走順が異なるらしい。運動神経が良い2人の闘いを見てみたかった気もするが、どっちを応援したら良いか分からなくなるから結果オーライというやつだ。
「はじまった!」
宗方の声を聞いてハッと我にかえると、第一走者の一年生が走り出していた。その中にはなんと早乙女もいて、袖を肩までまくって黒い模様が見えてしまっている。そのまま早乙女は1位をリードしたまま次の走者にバトンを繋ぐ。
「あっ!高嶋くん高嶋くんっっ!!!やまっ、山本くんだよ!!」
宗方は奏太がバトンを受け取るとパッと立ち上がり、興奮した様子で俺の服を掴んで揺らす。宗方が指差す方を見ると奏太が前の走者を凄い勢いで追い抜かしていた。
「格好いい〜!!!」
周りの生徒の言葉に俺は鼻を鳴らした。
自分の親友が褒められて嬉しいと思う反面、奏太なんだから当然だろうと鼻を高くしたい気持ちでいっぱいだった。
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