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「つぎっ!次、星乃くん!!」
宗方はクイクイと俺の服を引っ張っりながらピョンピョン跳ねた。こんなことをして許される男は宗方ぐらいだろう。俺のハートを掴むとは侮れん、宗方 倫太郎。
凪は2位でバトンを受け取っていたが、奏太のおかげで白組と圧倒的差をつけられており、1位で次にバトンを渡すのは無理かと思われた。
「「「わあぁあぁああ!!!」」」
速い、速い…どんどん距離を縮めていく。前を走る生徒も数多くの中から選抜された生徒だろうに、それを感じさせないほど凪の足が速い。
『抜かしたぁあぁあっっ!!!?』
風を切り、隼の如く走っていく姿はいつものクールな凪とは違い、格好良くて胸が熱くなった。この凪の活躍で応援団の応援にも熱が入り、より一層大きな声でエールを送っている。
そして最後に赤いバトンを渡された相手は……
「新さん…!」
「風紀委員長だ!!!」
思わず声にしてしまったが、隣の宗方や他の生徒達の声で掻き消されてホッとした。
「すげぇ……」
熾烈な争いだった。さすがアンカーに選ばれただけあるメンバー達で、陸上の決勝戦でも見ているかのような気分になる。
その中でも輝いていたのは新さんだ。サラサラな髪を後ろに靡かせて、汗をも新さんを格好良くさせる材料になっていた。
(さすが俺の新さん…!格好いい!!)
溢れる想いをグッと抑えて噛み締めつつ、新さんの勇姿をしかと目に焼き付けた。
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