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最初にゴールテープを切ったのは言わずもがな新さんで、赤組の歓声と言ったら凄かった。赤組のリレー選手達が新さんの周りにに集まって、興奮冷めやらない様子で言葉を交わしていた。
青春って感じがしてすごく羨ましい。新さんは俺にないものを全て持っていて、本当に憧れる。
『最後の競技に参加する生徒は入場門まで来てください』
凪が帰ってくる前にアナウンスが鳴ってしまった。一緒に向かおうと約束していたが、恐らくもう先に向かっているだろう。俺は宗方に声をかけて席を立ち、入場門へと向かった。
「じゃあ順番はこんな感じかな。みんな楽しんでね。」
生徒会長が中心となって走る順に並んだはいいものの、これから始まる得体の知れない競技に俺は恐怖を感じていた。
しかも周りにはイケメンばかり。この学園には整った顔立ちが多いが、その中でも厳選されしイケメン達がここにいるのだ。俺が見劣りしてしまうのも無理はない。みんな面白半分で票をいれるものじゃないぞ。こんなの拷問だ。
「なに緊張してんだよ。リラックスしろって」
緊張しすぎて顔に力が入っていた俺に話しかけてきたのは、隣に並んでいる奏太だ。
各学年に10名でそれを2つにざっくりと分けて並んだだけだから2分の1の確率だったが奏太と同じ列は辛すぎる。負ける確率がグンと上がった。ただ一ノ瀬と凪は違う列で本当に良かったと思っている。
「緊張なんかしてねぇし…」
「嘘つけ、手震えてっから」
そう言って俺の手をそっと包むように握ってきた奏太は俺の顔を見て、安心させるようにふっと笑った。
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