偽不良くんと体育祭

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こんなの周りにバレたら恥ずかしすぎる。いくら親友とはいえ、男同士が手を繋ぐなんて…。チラリと後ろを見れば、新さんや望月、生徒会長の姿があって、改めて顔面偏差値が高いと思い知らされる。 「も…大丈夫だから。」 「そうか?俺はこのまま手繋いだまま入場してもいいんだぜ〜」 「ばかやろう」 そんな風にからかってくる奏太のおかげで少し緊張が解れた気がした。 『それでは体育祭の目玉競技である最後の種目!!ランキング上位者達の勇姿をご覧頂きたいと思います!!』 盛大に行われるパレードのような音楽がグラウンドに響き、それに合わせて俺たちは入場する。 レーンには人が入れるようなボックスがいくつか用意されており、カーテンがかかっている。見たところ更衣室に見えるが…実際なにかは競技内容を聞くまではわからない。 『今年の競技の内容はぁあぁああ!!?せーーの!!ドーーーーーーン!!!!』 実況している人がドーンと言ったタイミングで校舎に吊るし巻かれていた幕が一気に下される。 『コスプレ競争でっっす!!!』 「「「ウオオオォオオオォオオ!!!!」」」 幕に書かれていた競技名を見た瞬間、俺の体から魂が抜けた気がした。それほどの絶望を味わっている俺をよそに生徒達は盛り上がりを見せている。 『ルールは簡単!走ってどれかのボックスの中に入り、中にある衣装に着替えます!着替え終わりボックス内の赤いボタンを押すと、メイク係が中に入るので、セットしてもらいます。与えられる時間はおよそ5分です。』 メイクと耳を疑うような単語が出てきて、俺はすぐにでもこの場を立ち去りたくなった。
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