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「もっと可愛くなる魔法をかけてあげるね」
「っ、やだ……!!寮長が俺と変わってください!」
今度は緊張と恐怖で涙が目に滲むのがわかる。寮長の服を掴んで必死に目を見つめるが、寮長は眉を下げて申し訳なさそうに笑った。
「あはは。そんな可愛くお願いされてもなぁ…ごめんね。」
そう言って寮長は俺の頭にブロンドのロングウェーブのカツラを装着してきた。
「ほら、可愛い顔が台無しだよ」
寮長は俺の顎を人差し指で掬って顔を覗き込んできた。頰には何かをポンポンつけられ、睫毛にも何かを塗られ、唇はプルップルにされて鏡の前に立ってみるとそこには可愛らしいメイドの姿があった。
黒地のワンピースは膝丈で裾にはフリルがついている。フリルのついたエプロンは後ろで蝶々結びにし、胸元には細く赤いリボンがついている。素足を隠すための白く長いソックス、ヒールのある靴。そして仕上げに猫耳付きのフリフリカチューシャだ。
「すごく可愛い。今ここで色んなことを考えちゃうくらいに」
「おれ…おれ、本当に出たくない……りょうちょ、」
「いいよ、出なくても。でもそんなこと言ったら俺何するかわかんないよ」
「う…それも嫌だ……」
寮長に縋ってみても気持ち悪い俺を目の前にして助けてくれるはずもなく、俺は出口の方へ追いやられる。
「いってらっしゃい、高嶋くん」
「や、やだ…っ、やだやだやだ!!わっ!?!?」
寮長にポンっと背中を押されてボックスを出た俺は一瞬でグラウンド中の注目の的となってしまった。
* * *
(手描きですみません、、お目汚し申し訳ない…このような感じです。)
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