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「あっ……ぅ…………、くっ……」
あられもない姿で全校生徒の前へ出てしまい、羞恥で顔は熱が吹き出るほど赤くなり、好奇の目に晒される恐怖に足がガタガタと震えた。視界が涙でボヤけるが瞳から溢れないように我慢する。
「えっ…あれって高嶋?」
「めっちゃ可愛い〜!!!俺好みかも」
「あのヤンキーが…?嘘だろ」
「まじで女みてぇ…アイツなら俺イケるわ」
一瞬の静寂の後、一気に騒がしくなる会場。先にゴールした選手に注がれていた視線は一気に俺の方へと向けられた。「可愛い」「女みたい」と、聞こえてくる言葉の数々で中学の時のことがフラッシュバックし気持ち悪くなる。
ここで立ち止まっていてもきっと変に思われるし、ずっと見られてしまうだけだ。ならさっさとゴールした方がいい。
「…っ、」
スカートの裾をギュッと握ってゴールへと進もうとするが、足が鉛のように重たい。というかヒールの靴なんて初めて履くので歩き方がわからない。
ゴールの方を見れば執事の格好をした奏太がこちらの方を見て固まっていた。
(あー、もう何もかも終わりだ…こんな競技出なければ良かった)
不良としての尊厳も友人も失って俺に残るものは何だろう。こんなことになるなら一ノ瀬の下僕をしていた方がよっぽどマシだ。
(やばい……ほんとにきもちわる、い……)
─ バッ
「え……??」
突如、頭に何かが覆いかぶさって目の前が真っ暗になった。
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