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「くそー……一ノ瀬のやつ………」
思い出したらなんだかムカムカしてきて、ムクリと起き上がった。こんな遅くに布団を出たのは久しぶりだし、今日は山本の弁当も作ってやれなかった。
「……ヤケお菓子してやる。」
いつもお菓子をストックしてある宝箱をパカッと開けると、いつしか槙田にもらったチョコレートがたくさん残っていた。何をしていても友人のことが頭に浮かんではモヤモヤして、悪循環だ。
俺はチョコレートを2つほど持ってリビングのソファーに横になった。
中学の時、友人のことを思い出して嬉しくなったり、こんなに思い悩んだことなんてあっただろうか。
(いや、あったな………。)
あれは確か……──
◇ ◇ ◇
「天音くん!」
「夏輝、遅かったね」
読んでいた本を閉じ、ふわりと微笑みかけてくれているのが犬飼 天音くん。中学1年で同じ委員会に入ったのを機会に話すようになり、2年で同じクラスになって一緒に登校するほど仲良くなった。
「うん。妹が行かないでって言うから可愛くて家出るのが遅くなって…ごめんね?」
「本当に夏輝はシスコンだね。全然いいよ」
天音くんは誰にでも優しくて、格好良くて女の子にモテモテで絵に描いたような好青年だ。
そんな彼と仲良くなれるなんて思ってもみなかったが、天音くんにもらったいちごチョコが衝撃的においしくて、そこから甘い物好きで意気投合したんだよな。
* * *
中学時代の夏輝を描いてみました!この頃はまだ背がそこまで高くなく、163cmくらいです。黒髪でまだ無垢な夏輝くんです!
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