偽不良くんの過去

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授業もホームルームも終わった放課後、僕は鞄を持って立ち上がり天音くんの元へ向かった。 「天音くんっ!一緒に帰ろ〜!」 「……あ、ごめん。今日はちょっと」 「あれ、今日部活休みじゃなかったっけ?」 「先生に呼び出されてるんだ。ごめんね。」 それを聞いて僕は肩を落とした。今日はどこかに寄り道でもしようと考えていたのだが、そういうことなら仕方ない。 天音くんは部活に入っているのだが、今日は週に1回の休みの日なのだ。まぁ、教師たちからの信頼が厚い天音くんのことだから呼び出されるのはごく自然なことだ。 「わかった!じゃあ、また明日ね」 天音くんにヒラヒラ手を振ると、天音くんも笑顔で手を振り返してくれた。肩に掛けているスクールバッグの持ち手を両手でギュッと握り、僕は一人で教室を出て下駄箱へと向かった。 「あれ…今日雨だっけ……」 下駄箱から靴を出して、ふと外を見ると雨がザーザー降っていてかなりの土砂降りだった。いつもは天気予報を見るのだが今日に限って見るのを忘れてしまい、傘も忘れてしまった。 「こんなことなら折りたたみ傘持ってくれば良かったな」 周りを見てみればみんな傘を持ってきているようで、困っている様子も見られない。どうやら今日の天気予報はアタリだったようだ。僕は屋根の下で空を見上げながら早く弱まらないかと待っていたが、しばらくしても弱まる気配はなかった。 傘を入れてもらえるような友達は天音くんくらいしかいないし、この雨の中帰ろうか迷ったが鞄の中には図書室で借りた本も入っているからやめておいた。 (弱まるまで待とうかな…もしかしたら天音くんも一緒に帰れるかも!) そんな考えが僕の中学生活を脅かすことになるなんてこの時は微塵も思っていなかった。
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