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(なに、あれ……)
教室の中では壁に背を預け座り込む1人を見下ろすように4人の生徒が取り囲んでいた。その雰囲気はあまり良いものとは言えず、抵抗する生徒の腹に蹴りを入れたり罵声を浴びせたり、心穏やかに見ていられるものじゃなかった。
「どうしよ…せ、先生呼ばな…っ、……え?」
僕が慌てふためいている時、俯いていた生徒が顔を上げた。その顔を見で僕は時が止まったような変な感覚になった。
「あまね…くん……?」
そう、その生徒は僕の友達である天音くんだったのだ。僕はそれがわかった瞬間、頭で考えるより先に体が動いていた。後先考えないのが本当に悪い癖だと思う。
─ ガラガラッ
「天音くん!!!!」
ドアを思い切り開けて全速力で天音くんに駆け寄ろうとするが、4人の生徒が僕に立ちはだかった。
「あ……こ、こんなのズルイよ!4人で1人を虐めるなんて!!天音くんが怪我しちゃう…」
「あ?なにこいつ。」
「何も知らねぇ奴が割って入ってくんじゃねぇよ」
「こいつ知ってる。このクソのダチじゃん?金魚の糞みたいにくっついてるさー」
「ギャハハ!!つか同じクラスじゃん?女より可愛いで有名なさ〜!確かナツキちゃんだっけ?」
僕より全然背が高くて、筋肉もあって、力でどうにかしようと思っても無理だと思った。だけど平和に解決しようなんて相手は思っていなくて、向けられる敵意に体が震え上がった。
「震えてるよコイツ」
「かっわいー」
何も面白いことなんてないのに4人はケラケラ笑っていて、僕は惨めな気持ちになった。だけど友達をこんな風にされて黙っていられるほど臆病でもない。
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