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「謝って…」
「はぁ?コイツ今なんて言った?」
「天音くんに謝れって言ったんだよ!!」
俯きながら震える体に鞭を打つように拳を固く握って声を荒げると、自分でも驚くくらいの声が出た。しばらくしても反応がなくて恐る恐る顔を上げると、さっきまで笑っていたのが嘘かのように4人の生徒たちは無表情になっていた。一瞬ニヤリと顔を歪ませたと思いきや、1人の生徒が拳を振り上げた。
「…っぅ゛あ!!」
避ける術を知らない僕は思い切り歯を食いしばって目を閉じた。それと同時に頰に強烈な痛みが走って、僕の体は抗うことなくふらりとよろけてしまう。すると休む暇もなく腹に蹴りが入り、腰を机に強打して僕はズルズルと座り込んだ。
このメンバーのリーダー的存在なのかわからないが目が鋭くて、黒い雰囲気を纏った人が近づいてきた。僕の胸倉を掴んで無理矢理立たせると、何発も何発も鳩尾を狙って殴りつけてきて僕は声を漏らすことしかできなかった。
「っ、ぐ……ぁ、やっ…」
「ンだよ、もう終わりかァ?さっきまでの威勢はどこいったんだよ」
怖くて痛くていつ終わるのかもわからなくて、意識も殆ど虚の中、頰に涙が伝うのがわかった。
「お前が謝れば許してやるよ」
「…っは、ぁ゛……」
「ほら、言えよ。ゴメンナサイって」
「…いわ、ない……っ」
この頃はまだ立ち向かう勇気があって、瞳に希望の光を宿していた。ただ、彼に歯向かってしまったのが運の尽きだったのだろう。
「へぇ……面白ぇこというじゃん」
額に青筋を浮かべて中学生に似つかわしくない笑みを僕に向けると、4つの影が僕を取り囲んだ。
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