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それから僕はいじめを受けていたこと、登校拒否をしていること、強くなって自分を変えたいこと、嘘偽りなく全て話した。ほぼ初対面の相手にする話ではないが、この青年ならば僕の話を最後まで聞いてくれると思った。
「1人でよく頑張ったな。」
話が終わると青年は僕の頭を撫で、そう言った。見ず知らずの相手の重い話を最後まで聞いてくれて、励ましてくれて、感謝の気持ちでいっぱいだった。この手の温もりはいつまでも忘れることはないだろう。
「だが……悪いがいきなり弟子と言われても俺もどうしたらいいのかわからない。」
「そうですよね…すみません。」
この答えは予想していた。一般人なら当たり前の反応だ。ほぼ初対面で弟子にしてくださいなんて言われても普通は戸惑うに決まっている。
「だから、まずは力をつけろ。」
「え…」
思いもよらぬ言葉に僕は俯いていた顔を上げた。
「そんな細い体じゃ勝てる勝負も勝てない」
そう言われて自分の腕と青年の腕を比較して見ると、僕の腕は華奢で青年の方が筋肉質で男らしかった。
「ちゃんと鍛えられたなら、その誠意を認めてお前を俺の弟子にしてやってもいい。」
「えっっっ!!!」
その言葉に僕はビックリしたのと喜びで思わず立ち上がってしまった。すると青年も立ち上がり、僕に手を差し出してくる。
「俺は藤堂 新。よろしく。」
「あっ…えと、僕…じゃなくてっ、俺は高嶋 夏輝です!!よよよ、よろしくお願いします!!」
俺は自分の手を服で拭いてからその手を握って頭をこれでもかと思うくらい何回も下げた。
それからというもの強くなるために筋トレや走り込みをして、その努力を認めてもらい新さんの弟子になることができた。
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