偽不良くんの告白

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「とりあえず、俺の部屋入って話すか。」 酷い対応をしたのにも関わらずこんなに早く許されてしまい逆に申し訳なく思いつつ、奏太の言葉に頷いた。 俺と凪と同じように共同部屋のため、奏太の個室に通された。入るのは初めてではないが、これから打ち明けるとなると緊張する。 「適当に座って」 「お…おう……」 そう言われて座る場所を探すと勉強机の椅子は一つしかなくて、俺は何も考えずベッドの上に腰掛けた。漫画や筋トレグッズなどが置いてあるが、きちんと整理されていて清潔感のある部屋だ。 部屋を観察しているとフワッと柑橘系の匂いが鼻をかすめて隣を見上げた。するとなぜか奏太は俺の左隣に座ってベッドがさらに沈む。どうやらあの椅子には座らないらしい。 「で、俺に話したいことあるんだろ?」 俺の顔を覗き込むようにして山本が問いかけてくる。俺は膝の上で意味もなく自分の指を弄って、心の中で葛藤していた。早く言わなきゃと思うほどうまく言葉にできない気がして、変な汗が出てくる。 「…別に無理に話す必要はないけどさ、ムカつくじゃん。」 奏太はベッドに手をつき、天井を見上げながらそう言った。 ″ムカつく″ 傷付くべきのは俺じゃないのに、その言葉で心が痛くなった。今まで騙していたと言っても過言ではないのだから自業自得だ。でも一年の時、唯一俺を怖がらずに話しかけてくれた彼に手放されてしまうのは結構…いや、かなりの精神的ダメージだ。 「だって、星乃にはもう話してるんだろ?」 「あ…うん……」 「親友の俺に話さなくてアイツには話すって……ずりぃ。」 奏太は口を尖らせるとそっぽを向いた。俺は弁解したくて慌てて奏太の制服の袖を掴んだ。 「奏太にはずっと、何回も…言おうか迷ってたんだ。でも、親友だから言えなくて……!!」 「ふーん。それって俺が大切ってコト?」 振り向いた奏太が「へぇ、そんなふうに思ってるんだ?」と言わんばかりの面白そうな表情でニヤついていた。眉を下げていた俺の眉間には少しずつしわが寄っていく。
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